2025年– date –
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『スロウハイツの神様』辻村深月 (講談社文庫 上下巻)
涙が滝のように流れます。 あらすじ 脚本家の環は、譲り受けた一軒家を格安で友人たちに貸すことにする。 超売れっ子作家の千代田公輝や、映像、絵画、漫画家、小説家の売れない卵たちが同居し、日常生活と送ることとなる。 夢や挫折、妥協など経験しながら仲良く過ごしているところへ、公輝のファンを名乗る女性が新たな住人として同居し始める。 それにより、住民たちに様々な感情の起伏、変化が起こりはじめる。 感想 物語の構成上、様々な伏線がありますので、細かな内容は避けさせていただきます。 まず、登... -
『キャラバンサライ(Caravanserai)』 1972 サンタナ
”官能的なギター”という言葉を身に染みて実感するアルバム 感想 最終曲の大作「果てしなき道」がドラマティックで盛り上がります。 2曲目の”躍動”も凄く良い。 そして、官能的という言葉がピッタリのギター。 かき鳴らされる音色と旋律に痺れます。 最高です。 -
『ロンゲスト・ヤード』 1974 米
熱く燃えます あらすじ 元プロフットボーラーのクルーが刑務所に収監される。 そこの所長が力を入れている看守のフットボールチームの練習台とするため、クルーに囚人にチームを作らせ、戦わせようと画策する。 所長は自分の名誉のため、看守チームを手段を選ばず勝たせようとする。 囚人たちも看守への日頃の恨みをぶつけようと練習を開始。 いよいよ試合が始まる。 感想 まず、女性はほぼでてきません。 男性が熱くなり、燃えるような作品です。 ストーリーも単純明快。囚人チームと看守チームが手段を選ばず、... -
『火怨』 高橋克彦 (講談社文庫 上下巻)
血が煮え立ち、沸騰します。 あらすじ 平安時代、東北に住む人々は蝦夷と蔑視され人としての扱いを受けられなかったが、朝廷から遠方にあったこともあり、多額の献金を行いながら比較的自由な生活を送っていた。 しかし、蝦夷の地の金に目を付けた朝廷は軍を送り、蝦夷の地を横取りしようとする。 蝦夷側は若きリーダーであるアテルイが迎え撃ち、戦いは長期化。 ついに朝廷は名将と名高き坂上田村茂呂をかの地に送り込んでくる。 感想 長い間踏みつけにされ、不満や鬱憤をため込んでいた民たちが、若きリーダーの... -
『雨の訪問者』1970 仏・伊
ブロンソンがカッコイイ あらすじ 雨の中、得体のしれない男が町へ降り立つ。 その男が行方不明になったことで、新妻のメランコリーは殺人事件に巻き込まれる。 そこへ現れたドブスという正体不明の男が、メランコリーが殺人事件のカギを握っているとにらみ しつこく付きまとい始める。 感想 サスペンス映画ですが、観終わればお洒落な印象です。 冒頭、ラスト主題曲が名曲で、物語の雰囲気を一気に上げてくれます。 ドブスとメランコリーの掛け合い、2人の微妙な距離が縮まっていくさま。 ラスト、ドブスが殺人... -
『小暮写真館』 宮部みゆき (講談社文庫)
すごく温かい小説です。 あらすじ 家族とともに引っ越した花ちゃん。 新たな家は、なんと古い写真館。 写真を撮ってみると、そこには見知らぬ人が写っていた。 なぜ、そこに写っているのか、なぜそんな表情をしているのか。 花ちゃんは、友人たちと原因を調べていく。 感想 ホラーでは全くありません。 主要な登場人物はみんなやさしいです。 写真に写っていた謎や真相もとてもやさしく、読んでいてホッとします。 主人公である花ちゃんが気になってしょうがない女性である垣本さんの個性的なキャラも良く、 最終... -
『ぼくと、ぼくらの夏』 樋口有介(文春文庫)
大好きな作品です。 あらすじ ある夏、クラスメートの女性が亡くなり、警察官の息子とヤクザの娘が、その真相を探っていくというものです。 感想 内容的には、青春ミステリということになります。 ミステリとしてはこれといって特筆するべきことはありません。 しかし、この本の最大の魅力は、とにかく登場人物の会話が楽しくてしょうがないことです。 主人公と怖くかわいく生真面目なガールフレンド、何を考えているのか分からない父親、美人な担任の先生。 この4人が魅力的に描かれ、愛おしくてたまりません。 ...
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